就職活動で必ず必要になる「ガクチカ」ですが、作成に苦労する方も多いですよね。
特に大学職員の場合には、他の民間企業と同じ内容で提出するのではなく、少し工夫をして作成することをオススメします!
人事部門で10年間新卒採用を行い、10,000件以上のESを拝見してきた私が解説します。
・コツコツ系のエピソードは意外とウケが悪い
・協働、共創をキーワードにESを作るべし
ESに記載する時には、業界の状況を踏まえることが重要です。
なぜコツコツ系エピソードはダメなのか?
大学職員という仕事は、堅いイメージがあるかもしれません。机に向かって静かに仕事をしたり、事務職として書類作成を行う…。
確かに間違ってはいないのですが、だからといって、「仕事をコツコツ頑張ることができます」というアピール(=ガクチカ)が正しいとはいえないのです。
なぜ大学職員のガクチカでコツコツ系エピソードは避けたほうがよいのかというと、昨今の大学を取り巻く環境に理由があります。
大学職員ってコツコツ仕事しているイメージだったな。
続きを読んで、そのイメージを変えていきましょう!
18歳人口の減少
大学業界が直面している大きな課題の一つは、18歳人口の減少です。大学職員を目指している皆さんならお分かりのとおりですが、既に100万人を切っており、2040年には90万人を割ってしまうと予測されているんですね。
人口減少はどういう問題があるんだろう。
単純な話で、大学のメインターゲットである18歳人口の減少は、そっくりそのまま市場の縮小を意味しているんですね。
お客さんが少なくなれば、業界全体でお客さんの奪い合いが起き、稼ぐことができなくなった大学はどんどん募集停止や学校法人の解散に追い込まれていきます。
ちなみに、2025年度から募集停止をする大学・短大は以下のとおりです。
高岡法科大学(富山県)
ルーテル学院大学(東京都)
西南女学院大学短期大学部(福岡県)
純真短期大学(福岡県)
足利短期大学(栃木県)
北星学園大学短期大学部(北海道)
姫路日ノ本短期大学(兵庫県)
名古屋女子大学短期大学部(愛知県)
星美学園短期大学(東京都)
九州龍谷短期大学(佐賀県)
就実短期大学(岡山県)
武庫川女子短期大学部(兵庫県)
美作大学短期大学部(岡山県)
鈴鹿大学短期大学部(三重県)
※2024年5月16日現在
この他にも四年制大学に改組する短期大学や学部を改組することで、志願者減少を防ごうとする大学も散見されます。
現段階では特に短期大学や地方の大学・短大が人口減少の影響を大きく受けていることがわかりますね。そして、この波は徐々に都市部へと広がっていくことでしょう。
先ほど人口減少によって「お客さんの奪い合いが起きる」と記載したのですが、まさに大学業界はこの段階に突入しており、今までのように待っていれば志願者が来る時代はとっくの昔に終わってしまったんですね。
つまり、「コツコツ真面目に仕事していれば」志願者が集まって、大学が運営できていたということはなくなってしまったんです。
だからこそESでは、コツコツ系のアピールをしても響かないんです。
そりゃそうですよね、基本的に大学職員は終身雇用で働いていくことが前提の職種となっているので、コツコツ系の強みを持つ人よりも、改善や改革など、組織を前向きに発展させてくれる力を持っている人のほうが魅力的に映るわけです。
もちろん、コツコツ仕事をすることは重要ですが、それだけではダメだということです。
古い体質から変わりつつある
少し抽象的な言い方で申し訳ありません。
これはどういうことかというと、皆さんご存知のとおり、これまでの大学という組織は、非常に古い体質だったんですね。例えば、教員が上で職員が下というカーストが暗に存在していたり、年功序列や学閥による権威主義が蔓延っていたりと、民間企業ではあり得ない組織文化が根付いています。
しかしながら、最近では某大学理事長の不祥事や役員報酬問題など、世間が大学に向ける目が非常に厳しいものになってきています。
このことにより、大学もようやく内部から「変えていかなければいけない」という雰囲気が醸成されてきているんです。
そこで重要となりますのが、これから大学職員になる皆さんがアピールすることは、今まで通り「コツコツ仕事していきますよ」というものではなく、「より良い大学にしていきますよ」という発展的な姿勢を見せることになってくるわけです。
具体的にはどのように変わったんだろう。
いくつかご紹介しましょう。
わかりやすいものでいうと、女性登用が挙げられますね。最近だと学部長クラスだけではなく、理事や学長なんかにも女性が就任するようになりました。
※2023年時点で、女性学長は全体の14%程度だそうです。
他には、大学の中には教員だけ、職員だけで進められる仕事ってあまり多くはないんです。それにも関わらず、教員と職員が謎の不可侵意識で協働しにくくなっている部分があったりするんですよ。各学部のカリキュラムや課程(教職や博物館など)なんかも、授業を行うのは教員ですが、その他の大部分は職員が支えている仕事なんです。
こういった古い価値観から脱却しつつある中で、皆さんがアピールすべきことは、「多くの人と共に成し得ること」になってくるわけです。
同じエピソードだったとしても、他人と協力したり、共創したことを伝えましょう。
具体例
では、せっかくなので、よくあるコツコツ系ESをどのようにすれば良いか具体例を交えてご紹介していきます。
物事は表裏一体なので、見方を変えるだけで伝わる雰囲気が大きく変わりますよ!
コツコツ系ガクチカ | 修正後 |
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アルバイトのエピソード | |
真面目そうだけど… アルバイトでは、勤務が始まる前から入念に準備をし、早く一人前に活躍できるよう取り組みました。その模範的な姿勢が、店長や後輩スタッフにも評価していただけるようになり、お店の売り上げにも貢献できたとエリアマネージャーからお言葉をいただくことができました。 |
周囲と協働した話へ アルバイトでは、事前に準備をすることで、店長や後輩スタッフがスムーズに動くことができるよう心がけていました。そうすることで、積極的に役割分担が進み、効率的に店舗運営ができていると、エリアマネージャーからお褒めの言葉をいただくことができました。 |
部活動・サークルのエピソード | |
リーダーシップ…? 所属していた○○では、サブリーダーとして団体をまとめていました。1年生で困っているメンバーがいた時には、率先してフォローに回ることで、団体のチームワークに貢献しました。 |
後輩を巻き込む 所属していた○○では、サブリーダーとしてメンバーを活動に多く関わってもらえるよう尽力しました。活動においては、年次が浅いメンバーとペアを組むことで活動の楽しさを知ってもらうと共に、一緒に団体を創り上げていくことを体験してもらいました。 |
いかがでしょうか。
アルバイトでは早めに来て準備をすること、サークル活動では後輩の面倒を見ることといったように、基本的な行動は変わっていません。
しかし、捉え方を変えることによって、アルバイトでは上司や後輩スタッフにも良い影響を与えた話へと変わり、サークル活動のほうでは、後輩を団体活動に巻き込んでいく内容に仕上げることができました。
このように、大学職員でのESではコツコツ系の話をアピールするのではなく、「協働・共創」の視点から考えてみてください。どんなエピソードでも見方を変えることで、大学対策用のガクチカに変えることができますよ!
嘘をつくのではなく、フォーカスする面を変えるというイメージですね。
もし、ES作成でお困りの方は、10年間新卒採用を行なってきた私にお任せください!
これまで10,000件のESを拝読してきた経験から、皆様に適したESの添削・作成などのアドバイスを行わせていただきます。