一口に大学職員といっても、国公私の3種類では性格が大きく異なっているんですね。
同じ名前の職業ではありながら、処遇やなり方まで全然違うこの職業について、今回はコスパ最悪?ともいわれる国公立大学職員に着目してお話ししていきます。
大学職員になるなら私立が一番良いです。
・国立大学職員はとにかくコスパが悪い
・公立職員は国立と私立の間ぐらい
・いずれも出世を目指すことは厳しい
国立大学職員は準公務員
意外と知られていないかもしれませんが、国立大学職員というのは準公務員、いわゆる「みなし公務員」と呼ばれるものなんです。昔は公務員そのものだったんですが、国立大学も自助努力の経営をしていくべきだという考えの下、平成16年4月より国立大学法人に位置付けられることとなりました。
みなし公務員だとコスパ悪いの?
結論としてはそうですね。
準公務員とは文字どおり、公務員に準ずるということなので、待遇も公務員並みということです。
では公務員はどれぐらいなのかというと、基本的には大企業並みで処遇が決定されています。これは人事院というところが決めているんですね。
大企業並みなら良いのではないか、とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそこまで高くないというのが現実です。面白いまとめをしている県庁職員の方のブログもご紹介しておきます。
キモオタク地方公務員(県庁職員)のブログ
- 男性の場合、25〜29歳区分では、中小企業を含めて比較しても、民間よりも地方公務員のほうが給与水準が低い。ただし30〜34歳区分では地方公務員のほうが高い地域が増える。
- 男性の場合、従業員1,000人以上規模の大企業の給与水準には、年齢区分問わず遠く及ばない。
- 女性の場合、中小企業を含めると、地方公務員のほうが高水準。従業員1,000人以上規模の大企業に限って比較しても、半分以上の地域で地方公務員のほうが高水準。
女性に関しては圧倒的に公務員優位ということですが、男性について比較していくと、ポイントは「地域」というワードですね。
29歳までは民間企業に劣っていて、30歳を超えると地方なら民間企業に勝てるところが増えてくる、という捉え方で良いと思います。そうすると、関東、近畿、東海エリアぐらいであれば、国立大学職員になるよりも民間企業の方が稼げるということになってしまうのです。
これだとあまり処遇が良いとはいえませんね。
さらに、私はコスパという点で、就職のしにくさにあると思っています。
国立大学職員は公務員に準拠した筆記試験が行われます。通過者はその後に官庁訪問のような仕組みで、各大学(関東なら、東大、一橋大、横浜国立大など)に面接を受けにいくという流れです。
そうすると、公務員並みの勉強が必要になるということです。
公務員試験対策をするのは大変だなぁ。
幅広い科目の勉強をして、試験通過後に面接していくという流れなので、民間企業同様にSPIのような筆記+面接という私立大学と比べると明らかに労力がかかりますよね。
国立大学職員は就職活動が大変で、処遇も高くない。
公立大学法人は国立と私立の中間
次に公立大学について見ていきたいと思います。
公立大学とは、都道府県が管轄している大学であり、東京都立大学や横浜市立大学、大阪公立大学といった大学ですね。
特徴としては、都道府県内に居住している場合としていない場合で学費が変わるという点ですね。アメリカの州立大学のような感じです。
公立大学の処遇は高いのかな?
残念ながら、国立大学同様にそこまで高いとはいえません。こちらも都道府県の地方公務員レベルでの処遇だからですね。
一方で、準公務員ではありつつも、国立大学法人等職員のように共通の筆記試験があって、官庁訪問のような面接をしていくわけではありません。公立大学については、就職活動の方法は私立大学と同じなのです。
つまり、マイナビやリクナビに登録することで、エントリー、ES提出、面接という民間企業と同じ流れなんですね。
ご登録されているサイトでお調べいただけますので、まずは求人をチェックしてみてはいかがでしょうか。
国公立大学では出世ができない?
最後に出世について触れていきたいと思います。
今のご時世、管理職になりたい方も少ないという声もありますが、参考までにお伝えいたします。
さて、国公立大学で出世ができない理由は、国立なら文部科学省、公立なら都道府県から役職者や役員として出向してくるケースが多いからです。
天下りですね…。
やや古い記事ですが、2017年の日経新聞に掲載されたものをご紹介いたします。
私も大学職員の友人で、国立、公立いずれもいますが、その方達もやりがいに疑問を感じているという話はよく聞きます。
大学に直接入った人を、一般的に「プロパー」と呼ぶのですが、プロパーが上級の役職に就くことは難しく、先にお話しした国や都道府県の役人が出向して部長級や役員になるケースが多いのです。
こうした中で、プロパーに決裁権がないまま、ありていにいえば国や都道府県の意向を受けて仕事をしていくのは、中々モチベーションの維持が難しいのかもしれません。
他方で、国や都道府県が直轄しているメリットとして、高等教育行政の最先端であるということは間違いありません。自主性に委ねられている私学と違い、よりインフラとしての性格が強い国公立大学においては、国の政策が直接反映される場面が多いからです。
ここに興味と関心を持てる方は、国公立大学でやりがいを持って働くことができるかもしれませんね!