大学職員の選考に入っていく中で、避けては通れないのが「中長期計画」です。
文字ばかりで見にくい印象があるかもしれませんが、ES作成や大学の未来の姿を知るためにも、中長期計画を読み込むことはマストであると言っても良いです。
今回は、ES作成だけでなく、就職先として考える上で参考になる中長期計画に関してお話していきます。
少しでもとっつきやすいようご説明しますね。
・大学が中長期計画を策定する意図
・最低限のキーワードだけは見ておこう
中長期計画の見せ方に注目
就職活動とは、皆さんが大学に応募して採用をしてもらうというプロセスなわけですが、実際には皆さんも大学を判断する側であるというものでもあります。
確かにそういう面もあるけど…
この視点を利用して、大学が公表している中長期計画の中身から、その大学がどれだけ真剣に未来の姿を描いているかを判断できるのです。
そのため、ここでは各大学が中長期計画をどのように見せているかに注目します。
中長期計画の策定は義務
少し遠回りにお話ししますが、まず皆さんにお伝えしたいことは、各大学が定めている中長期計画は義務であるということです。
全ての大学が中長期計画を定めています。
わかりやすい参考ページとして、Between(ベネッセ社)を貼り付けておきます。ご興味がおありの方は、一読すると理解しやすいと思いますよ!
※「Forbidden」と表示されていますが、リンクは機能しています
原則として5年先までの計画を定めることとされており、各大学のホームページを見ると、長期計画とともに特色あるネーミングをつけて公表していますね。いくつかご紹介しましょう。
・明治大学「MEIJI VISION 150」
・中央大学「Chuo Vision 2025」
・桜美林大学「J. F. Oberlin Schools 2040 - Unique & Sharp –」
・東洋大学「TOYO GRAND DESIGN 2020-2024」
それぞれ思い描く長期的ビジョンを大きく位置付けて、そこまでの道のりとして中期計画を組んでいるのです。ちなみに、毎年3月に行われる理事会で審議・了承されるものが、単年度の事業計画だということですね。このように大学というのは運営されています。
この概念的なものは、佛教大学が非常にわかりやすい図を示していますので、以下で示します。
(出典:https://www.bukkyo-u.ac.jp/about/philosophy/vision2022/)
私たち大学職員の仕事も、最終的には中長期計画実現のために行われているものなんです。
大学の姿勢が表れている
このように、中長期計画は全ての大学が原則5年以上のものを策定し、そして公表することが義務付けられています。
わかりやすくいうと、定めなければならず、公表しなければならないんですね。
皆さん、こういう”義務感”のあるものってどう思いますか?
面倒臭い…かな?
そうですよね。大学側からすると、めちゃくちゃ面倒臭いんですよ!
それに昔から義務として存在していたわけではなく、2020年4月から義務化になったんですよ。それまでも意識的に計画を立てている大学もありましたが、今では全ての大学が義務として、中長期計画を定めているんです。
皆さんも、ご自身の勉強の計画を「今から立てて実行しろ!」って急に言われたらどうですか?普通にうざいですよね。大学も一緒です。
しかし、だからこそ、各大学の未来に対する姿勢が表れているともいえるのです。
先ほどご紹介した4つの大学(明治大学、中央大学、桜美林大学、東洋大学)のページを改めてご覧いただければと思いますが、とても見やすく、そして世間に対して未来の各大学のビジョンを鮮明に打ち出し、果たすべきミッションをきちんと掲げていますよね。
例えば明治大学では150周年となる2030年に向けたグランドデザインを掲げているんですね。このように、各大学は節目の年や達成すべきミッションに合わせた未来を描いています。
当たり前ですが、大学職員を目指す皆さんは、この未来の時に主軸として活躍する人材を目指しているということですよ!
皆さんも大学の姿勢を丁寧に見ていきましょう。
中長期計画を公表する姿勢で、大学の本気度がわかる
最低限見ておく場所はココ!
各大学が定めている中長期計画の重要性についてはご理解いただけたでしょうか。
とはいえ、複数の大学に応募する方も多いでしょうし、一つ一つ細かく見てられないよ、というのも本音でしょう。
じっくり読み込むのはきついなあ。
それでは、最低限見ておく場所だけお教えします!
その場所とは、「ミッションワード」と「各施策の項目」です。
これらを抑えるだけでも全然違います。
明治大学を例に見ていきましょう。
ミッションワード
ミッションワードとは、要するに、中長期計画のキーワードです。
それは、未来を描いた姿なのか、大学が大事にしている言葉なのか、はたまた創立者の名言なのか、様々なパターンがあり得ます。
明治大学の場合には「前へ(「個」を磨き、ともに持続可能な社会を創る)」ですね。
明治大学は、この英語版である「Go Foward」も大学ホームページで使っています。
おそらく、次の時代に進むために、明治大学自体があらゆる面で「前へ」進んでいこうという思いを持っているのだと思います。そして、時代的な文脈としての「持続可能な社会」というものも取り入れていますね。
このように、中長期計画には必ずミッションワードが存在しますので、これだけは最低限押さえておきましょう。さらに、ミッションワードの背景・ストーリー性(明治大学でいえば、次の時代に進むために、大学自体が「前へ」進むことを決意している)を理解しておくことが望ましいです。
実行項目
最低限見ておく場所の2つ目は「実行項目」です。
これは、中長期計画の中で大学が実施していく項目のことであり、重点施策、アクションなどとも呼ばれています。
大学が具体的に実行する内容のことなのか。
そういうことですね。またまた明治大学の例を見てみますと、
https://www.meiji.ac.jp/chousaka/6t5h7p00000hsodh-att/merged_data_3rd_term_plan.pdf
1.大学経営・運営
2.財務戦略
3.施設整備計画
4.教育
5.学生支援
6.研究
7.社会連携・社会貢献
8.明治高等学校・中学校
このようなラインナップになっていますね。大規模学校法人だけあって、高校や中学に関して定めている点が特徴的です。
本来なら、その内容まで細かく読み込むことが求められますが、少なくとも、大学が掲げる「ミッションワード」の下で、どのような行動を取っていくのかを実施項目で確認しておくと良いでしょう。
ミッションワードと実行項目だけは絶対に見ておきましょうね。